221番道路

『しんかいのウロコ』を持たせて通信交換

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 新曲MV解禁をオフィスで迎えるとは、すっかり社会の色に染まってしまった。そんなことを思いながらも、まるで仕事をしているかのような顔でプレミア公開のカウントダウンに胸を躍らせていたあたり、適当さとも呼べる余裕と少しばかりの反抗心を同時に身に纏った、いわゆる一年目の終盤といった風格に落ち着いてきたのではないだろうか。さすがにその場では3周くらいが限界だったけれど、第一印象プラスアルファくらいはTwitterでも共有できて、それなりにカムバTLを感じることができたので、禁断症状でぶっ倒れることなく一日を終えられた。

 その中でツイートもした通り、強くて美しい"流れ"を感じる楽曲で、各パートのバトンが綺麗につながっていく様が今までとはまた違う感情のルートで何度も聴きたいと思わせる。その流れの美が最も強く感じられるOh baby Just to make yourselfが良すぎて毎回待ちに待ってしまうし、流れの中に映像的な意味でもスパッと差し込まれるI guarantee I gotchaの刺激が本当に心地よい。14時のオフィスで深夜を感じられるとは思っていなかった。

 リパケに伴うTWICEの連作MVの激烈オタクなのでこれだけは言っておかなければいけないのだが、最後のインターホンの音を聴いた瞬間に「繋がってくれ……!」とJYP本社の方角に強めの祈りを捧げてしまった。別に物語性のようなものは求めていないし、むしろ作品の純粋さのためにはできれば避けて通ってほしいと思っている側の人間なのだが、これはミステリーにおける「伏線」に対して抱く違和感や期待感と同じ情動なのである。伏線というものは、計画性や一貫した思考の筋が通っていることの証明であって、よく考えられて作り上げられたものだ、という事実自体が僕にとってはこの上ないほど喜ばしい。前回のEnglish Singleも最後にツアー日程を貼っていたくらいだし、今回インターホンが鳴ったことの意味が、まだ我々には見えない未来にあること、つまりは今ここに何かが仕掛けられたことを願うばかりである。

 そういえば、比較すると少し高いけれど、サビの"moonlight"の二音が『MOONLIGHT』内の"moonlight"と似ているような気がする。共通性は、可視性の低いシステム部分に潜ませるのが最も美しいと僕は思う。TWICE、今回もありがとう。