221番道路

『しんかいのウロコ』を持たせて通信交換

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 今週のTTTだが、清々しく面白かった。もはや定番となった、悪徳という言葉を余裕で超越し、単なる理不尽と表現すべき価格帯のTTT食堂に対し、ミナさんの手によってついに金券偽造という解決策が開発されたのである。偽札造りを解決策と呼んでしまうのは我々が生きる社会にとってもあまり良くない気がするのだが、そもそも食堂側が極めて犯罪的な価格設定であるため、うまくやり返したという感覚が非常に強く、TTT史に残るスカッとする場面だったと思う。食料のレートが異常に高いという前提のもとで全てのゲームを行い、賞金を勝ち取り、食事にありつく。このように設計されたTTTのシステムの中で、大量の賞金を獲得するでもなく、値切って安価で手に入れるでもなく、そのシステム自体を破壊するというのが本当に最高だった。こうなったらもう、一瞬だけ流される曲の断片から『Last Waltz』を死ぬ気で思い出したりする必要はないのである。というか、どうせほぼTTT内に限定的な通貨であることを考えると、ここまで異常なレートにする必要も特にないのだから、製作陣はもはやこのブレイクスルーの瞬間を待ち望んでいたのかもしれない。にしても、お釣りで本物の金券を手に入れるというやり口は、あまりに"本当"の錬金術すぎる。

 

 ずっと前にこんな話をした気がするが、今回のような名作が公開されたとき、一年前であればすぐに感想をツイートしていたところを、今はそれができていない。公開直後に見られていないというのがその理由ではあるものの、本来は別に少し経ってしまってからでも見たときに感想をツイートすればいいのである。ただそれをしていないのは、どこか乗り遅れた感であったり、誰かの二番煎じ感であったり、そういう自分の外との兼ね合いにも原因があるように思えて、自分自身の感情に対して気持ち悪い後味が残る感覚になる。乗り遅れも二番煎じも、周りとの比較によって初めて生じるものであって、好きであることや生じた感情は自分だけが基準であるべきだし、ましてやそれが「いいね」に還元されてようやく満足感を得るような状態は極めて不健全なのだが、一方で、他者の存在無くしてツイートという形で全世界に感想を発信する意味を問われるとそれは難しい。

 ツイートをしない選択は、他者への意識と、自分の中だけに留める意思の対照的な両輪によって成り立つ行動なのかもしれない、とふと思った。